取引を科学する

企業(組織)と外部環境の関係(ある企業活動について内部化したほうが良いのか市場を通したほうが良いのかの判断基準)について、「取引コストアプローチ」という考え方があります。

この考え方における取引コストは、①取引先を探すコスト、②契約成立までの交渉や契約するコスト、③契約が守られているか監視するコスト、などから構成される、とのことです。

このように取引コストというものを分解して考えてみるのは、面白いものですね。

 

さて、取引というのは、取引先と約束(契約)し、約束を実行することです。

仕入先から商品を仕入れる・お客様に商品を販売するといった事柄だけでなく、商売をするために店舗を借りる、ホームページの制作や保守をお願いする、複合機を購入やリースする・・・、これら全て契約に基づくものですね。さらに言えば、企業が従業員を雇うことだって、契約です。

このように考えると、企業が事業を営むためには、無数の契約が必要なんですね。 

身近な取引、分解してみましょう

これら各種の契約の流れ(契約のライフサイクルとでも表現できるのでしょうか)を、先ほどの取引コストアプローチに倣って、分解してみましょう(但し、ここでは「コスト」に捉われずに考えてみます)。

例えば、仕入先との仕入契約では、①より品質が高く、あるいはより安い仕入先を、様々な情報やネットワークを駆使して探し、評価する、②自社にとって有利・適切な契約内容となるよう交渉し、何度も契約書案の修正や申入れをして、最終的に契約締結にこぎつける、③取引先が契約内容をしっかり守っているか、商品に不備がないか、納期遅れがないか目を光らせる、といった具合に分解できそうです。

 

従業員を雇う契約である雇用契約についてもみてみましょうか。

雇用契約については、①自社にとってよりふさわしい・適切な求職者を探し、様々な情報(履歴書や面接、入社テストその他)に基づき絞りをかける、②雇用条件について協議し、お互い納得のうえ契約を締結する、③勤怠管理や担当業務の進捗・成果を十分把握する、といった具合に分解できそうです。 

ところ変われば〇〇変わる!?

勿論、相手方の立場からも取引を分解して考えることができますよね。

上記の雇用契約についてみれば、相手方となる従業員は、①より良い条件(働き方・給料その他の勤務条件、社風が合っているか等)で働くことができる企業を、様々な媒体を用いて探し、情報を仕入れ選択する、②自己にとって有利・適切(金銭面の話もあれば、希望する勤務時間・配属先といった事柄もあるでしょう)な条件で雇用してもらえるよう希望を出したり協議したりする、③雇用条件が適切に守られているか気にし、同僚と居酒屋で色々話しあう、といった具合になりそうですね。

 

取引の種類・内容はもちろんのこと、立場が変われば、さらにはその時々の経済状況やパワーバランスによって、物の見方・評価や重要視するポイントが変わるということですね・・・なんて当たり前のことですが、このように個々の契約ごと・個別の立場ごとに契約・取引を分析してみると、より良い取引となるために取り組むべきこと・気を付けるべき点が浮かび上がってきますよ。

 

折に触れてケースごとに分析しご紹介するつもりですが、貴社でも是非お試しあれ。

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