ブログをご覧の皆様こんにちは。

中小企業診断士、事業承継士の仲光和之です。

 

第1話で、事業承継をやる意味やその時期について、

第2話では、事業承継の全体感についてお話ししました。

今回の第3話では、事業承継の現状について、中小企業白書のデータをご紹介していきたいと思います。

 

後継者選定状況と承継先

まずはグラフをご覧ください。

 

出典:2017年版中小企業白書 概要 (中小企業庁調査室)

 

中規模法人のデータにはなりますが、後継者候補がいる企業まで含めますと、

約68%の企業が後継者が選定できている、事業承継の見込みが立っていると言えます。

また約33%がその承継先を親族外としています。

ちなみに同じ中小企業白書内の別データによりますと、親族内承継を予定している66.6%の企業のうち、

81.5%がその子供への承継であり、子供の配偶者への承継まで含めますと87.2%となります。

したがって、後継者・候補者が決まっている企業の約58.1%(66.6%×87.2%)が、

その子供・子供への配偶者への承継であり、親子間での承継が依然根強い選択肢であることがうかがえます。

 

後継者を決めるのにかかる時間

上記では後継者・候補者が決まっている企業について触れましたが、

簡単に後継者は見つかるものなのでしょうか。グラフをご覧ください。

出典:2017年版中小企業白書 概要 (中小企業庁調査室)

 

探し始めてから3年以内に後継者を見つけて了承を得ている企業は62.9%

3年以上かかっている企業は37.1%となっています。

前述したように、後継者を見つけている企業の約6割は親子間承継であり、

親子の場合は、その家族関係において、すでに信頼関係が構築されていることを考えると、

実際に事業承継を検討してから、3年以内に了承を取り付けている場合が多いのでは?と推測できます。

となると、子供への承継という選択肢が取れない企業については、3年、もしくはそれ以上長期化傾向とも読み取れることができます。

やはり後継者探し、了承を取り付けるには、ある程度の時間を見込む必要があると言えます。

 

経営引継ぎへの課題と準備状況

事業を承継するには、第2話でお話ししたように、「人」「物的資産」「知的資産」を

承継していく必要があり、そのためには様々な準備が必要になってきますが、

後継者が決まっているかどうかで、進捗に大きな違いが発生しています。

 

出典:2017年版中小企業白書 概要 (中小企業庁調査室)

 

この調査によりますと、後継者が決まっている企業の方が、圧倒的に経営引継ぎに対する準備が進んでいます

やはり後継者が決まっていないと、具体的なところが決めにくかったり、そもそも引継ぎへ本腰を入れて取り組みづらいのかもしれません。

後継者を探す・了承を取るのに時間もかかり、さらに承継準備も後手に回ってしまう、

そのような形になると、現経営者に万が一のことがあった場合の事業継続リスクが確実に上昇します。

 


 

中小企業庁発行の事業承継パンフレットにも記載されていますが、

一般に事業承継は、承継の下準備から実際の承継、その後の経営の安定化まで含め、

10年かかると言われています。

そこに後継者探しの期間まで加えると、かなりの長期戦になります。

 

実際の統計データからもわかる通り、事業承継はなるべく早く取り組むのが得策です。

 

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仲光 和之

【(株)ソウルスウェットカンパニー代表取締役、キャッシュフローコーチ(R)中小企業診断士】 建設業(電気工事業)での現場監督や、不動産管理業で業務のIT化推進、ベテラン社員の技能承継に携わる。その後退職、独立。 現在は『ビジョンと経営数字の専門家』として、ビジョン策定、浸透に関する支援や、決算書が読めなくても一枚の図で会社のお金の流れを把握する「お金のブロックパズル」を使った支援を行っている。 また消費税軽減税率制度や段取り力向上に関するセミナーを全国各地で実施。わかりやすさと多彩なワークが好評。