口頭でべらべら相談されてもね~……

 

あなたの職場では、メールや説明資料など、文書を作成している時間があったら、相手に直接話すか、あるいは集めて打ち合わせした方が早い、と考えている人いませんか?

かくいう筆者自身が以前そういう人間でした(苦笑)。

口頭による伝達のメリット

口頭による伝達にももちろんメリットはあります。具体的には、早く手短にできる、自分の気持ちや相手の反応をその場で確認できる、文書にしにくい微妙なニュアンスを伝えることができる、といった点です。簡単な報告や連絡であれば口頭で済ませた方が業務効率も良いでしょう。

口頭はかえって業務効率が悪いことも

しかし、少々込み入った話であるにもかかわらず、相手に直接説明をし始めると、さまざまな不都合が発生します。

具体的には、相手の時間を拘束してしまうことです。相手は何か作業の途中だったかもしれません。そうなると、その作業を中断させることにもなります。

口頭での伝達では、無駄な情報が多かったり、肝心な情報が欠けていたり、酷い場合だと話ながら考えをまとめようとして、自分の頭の中を整理するために相手を拘束してしまうなんていうことにもなりかねません。

また、相手側も口頭で受けた説明は記憶に残りにくいものです。その結果、情報が不適切に伝わってしまい、結局後で確認の手間が増えたり、最悪の場合間違った作業が行われてしまい思わぬ手戻りが発生する危険性もあります。

重要な情報伝達は文書の方が手間はかかるが遥かに効率的

もちろん、口頭によるコミュニケーションは重要です。しかし、重要な情報伝達は、文書の方が口頭より手間はかかりますが、トータルで考えれば遥かに効率的です。

例えば、集めて打ち合わせを行う場合でも、事前に説明資料を配布し一読しておいてもらうことで、相手にも心の準備ができ打合せ時の詳細説明が不要になるため、打合せ時間短縮あるいは議論の時間を十分に割くことが可能になります。また、打合せ後もその書類を保管しておけば、記憶が曖昧になった時にいつでも思い出すことができます。

打合せの進行も「議題表(アジェンダ)」を作成し、事前に議題を明確にすることで、議論の迷走を防ぐことができます。

さらに、決定事項について「いつ、誰が、何を、どのようにする」のかを議事録にしておけば、「じゃあ、そういうことで」となんとなくまとまったものの、その後具体的にものごとが進まないということを防止できます。

文書化の徹底は生産性や業務品質にも良い影響をもたらす

社内で文書化する習慣が根付くと、組織の生産性や業務品質向上にも良い影響をもたらします。

具体的には、

・担当者が文書作成の過程で頭の中を整理した上で行動するため、無駄なやりとりによる互いのストレスを減らすことができます。

・やるべき事を見える化することで、関係者の積極的なコミットメントが促され、成果もより高いものが期待できます。人間は一度決めた事をやり通そうとする生き物なのだそうです。心理学では「コミットメントと一貫性の法則」と言われています。

・また、何らかの事情で担当者が交代するような事態が生じても、文書化しておけば引継ぎもスムーズ且つ確実に行うことができます。

まとめ

今回は、職場のコミュニケーションに関するお話をしました。

  • 口頭には一定のメリットあるが、かえって業務効率が悪くなることも
  • 重要な情報伝達は口頭より文書の方が、手間はかかるが遥かに効率的
  • 文書化の徹底は生産性や業務品質にも良い影響をもたらす

以上、<あなたの職場は口頭と文書、うまく使い分けてコミュニケーションできてますか?>でした。


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竹内 覚

中小企業診断士、2級FP技能士、宅地建物取引士。千葉県佐倉市在住。「中小企業支援を社会人としての集大成にしたい」との想いから中小企業診断士になる。立命館大学卒業後、信託銀行へ入社。熊本および首都圏の法人融資渉外、信用格付の付与・モニタリング、業界・企業調査に従事。その後生命保険会社へ移り法人融資、保有不動産や運用事務に関する業務効率化プロジェクトの推進役を担う。モットーは “汗をかく”。