皆さんはSWOT分析というフレームワーク(切り口)を知っていますか?
SWOT分析は、外部環境・内部環境をプラス面・マイナス面の四象限(機会・脅威・強み・弱み)にわけて、経営環境を分析する比較的有名なフレームワークです。
もし、この記事を読まれた皆さんが、創業塾や融資対策など、事業計画を作るセミナー・研修に参加されたことがあるのなら、その7割ぐらいの方は、このフレームワークを紹介されているのではないでしょうか。

  プラス面 マイナス面
外部環境

機会

Opportunities

脅威

Threats

内部環境

強み

Strengths

弱み

Weaknesses

 

このSWOT分析というのは非常に便利な一方で、使い勝手の悪い面も多くあります
今回は、SWOT分析をするときの注意点をいくつか紹介します。

 

外部環境と内部環境を分けづらい

SWOT分析の切り口である外部環境と内部環境ですが、初心者はもとより、ある程度の経験を積んでも分け方が難しいと感じることが多くあります。
プラス面とマイナス面は見分けやすいですが、外部環境と内部環境は自分なりの定義を持っていない方が多く混乱されているのではないかと感じます。

私流ですが、外部環境の切り分けは以下のようにしています。

外部環境 自社がコントロール不可能
内部環境 自社がコントロール可能

 

大雑把ですが、外部環境は以下のようなものがあると感じています。

  • 需要の変化(政治、経済、社会、ITなど)
  • 競合の変化(同業他社、新規参入、代替品など)
  • 取引先からの交渉(顧客からの値下げ交渉、仕入先の値上げ交渉など)

 

一方で、内部環境は非常に多くの分析手法があります。
例を挙げると、以下のような分析手法があります。

  • 目に見えるもの(在庫、土地、建物、設備など)と目に見えない資産(ノウハウ、仕組み、人脈、顧客との関係性)
  • 財務データ(借入金、売上、利益、資金繰り、資産効率、利益率、自己資本比率など)と非財務データ(財務データ以外)
  • VRIO分析(『価値(Value)』、『希少性(Rarity)』、『模倣可能性(Imitability)』、『組織(Organization)』)
  • バリューチェーン分析
  • 理念、戦略、組織人事、マーケット、生産、財務
  • 顧客、商品サービス、価格、販路、販促

私の感想ですが、内部環境については分析者の得意な分析手法を使って細分化されることが多いと感じます。

 

機会、脅威、強み、弱みがうまく切り分けられない

この切り分けも結構難しかったりします。
はじめてSWOT分析をする方は、機会と強み、脅威と弱みが混在することが多いと感じます。

私流ですが、以下のように分けています。

機会(外部環境) 売上をプラスにする外部環境
脅威(外部環境) 売上をマイナスにする外部環境
強み(内部環境) 外部環境である機会を有効活用できる社内の能力
弱み(内部環境) 外部環境である機会を有効活用できない社内の能力不足や諸問題

この分け方は万能ではないですが、意外とわかりやすいのではないかと考えています。

ヒアリングの結果、機会、脅威、強み、弱みに該当しないモノも多い

経験上ですが、SWOT分析を混乱させる要因の一つとして、「機会、脅威、強み、弱みに該当しないモノを無理やり切り分けようとする」というケースが見受けられます。

例えば、若者向けのスポーツジムをSWOT分析したとします。

  1. スポーツジムのトレーナーの中に介護資格の保有者がいたとします。これは、内部環境面で強みと弱みのどちらでしょうか?
  2. 副業の解禁という社会情勢の変化があったとしたらどうでしょうか?これは、スポーツジムから見た外部環境面で機会と脅威のどちらでしょうか?

1と2にともに、この条件だけでは判別ができないですよね?
ヒアリングでは機会、脅威、強み、弱みに分けられない事を聞き出してしまうことも多くあるということを肝に銘じていないと、分析段階で混乱が生じます。

このこととは別に、同じ業種でも状況の違いにより、機会、脅威、強み、弱みに分けられる場合と、分けられない場合があるということにも気をつけておかないとダメです。
先の例である介護資格の保有者という点では、若者向けでなく中高年向けのスポーツジムであれば、強みとして使える可能性が高まりますよね?
また、副業という話も、人手不足の土日のトレーナーを募集しているスポーツジムであれば、機会と考えられますよね?

 

機会、脅威、強み、弱みは一文章でまとめて話されることがある

例えば、以下の文章を読んで、機会、脅威、強み、弱みを考えてみてください。

「パン屋の店長(従業員)は来店客のニーズを知っているが、経営者は自社工場で作っているパンの品質や、種類、こだわりなどに自信を持っており、店長の話を聞かない。」

これを聞くと、「弱み」と捉える人が多いと思います。
しかし、本当に弱みだけなのでしょうか?
「ニーズを知っている」店長は、有効活用できる可能性がありますよね?
経営者への伝え方の工夫や、工場・店舗間で定期的に商品会議を開けば、もしかしたら経営者も心を変えてくれるかもしれませんよね?
こういった、一見、脅威や弱みにしか聞こえない文章も文節に分解していけば、機会や強みとして見つけ出すことができることもあります。
特に、社内にいると問題点(弱み)、脅威ばかりが目に移りやすく、機会や強みが見逃されやすいので、こういった地道な文章の分解が必要になることも多いです。

そもそも何のためにSWOT分析をするの?

経験上ですが、SWOT分析をする意味を考えずに行う人(組織)は、意外と多くいると感じます。
そのためか、SWOT分析を行った後、その結果を有効活用できなかったりします。

個人的にSWOT分析を含む現状分析は、将来を創りだすために行うことが多いと考えています。
※当てはまらない例として、財務状況の整理や、後継者に自社の魅力を伝えるなど「会社の見える化」によるメリットを終着点としている場合などがあります。

私の流儀ですが、SWOT分析を行った後は、その結果をクロスSWOT分析に割り当てます
クロスSWOT分析は以下のように、外部環境と内部環境をクロスにして戦略をあぶりだすフレームワークです。

  強み 弱み
機会

1.(機会×強み)積極戦略

自社の強みを活かして、事業機会をとらえ、収益を拡大する

2.(機会×弱み)改善戦略

自社の弱みを克服し、事業機会をとらえ、収益を改善する

脅威

3.(脅威×強み)差別化戦略

自社の強みを活かして、外部環境の脅威を回避・軽減する

4.(脅威×弱み)致命傷回避戦略、縮小戦略

自社の弱みと外部環境の脅威による最悪の結果を避ける

SWOT分析は、基本的にはクロスSWOT分析に当てはめて、初めて未来に繋がります。

ここでさらに注意したいのがクロスSWOT分析についてです

  • SWOT分析であげた項目をすべてクロスSWOT分析で使うことはない。何でもかんでもやることはできないということです。
  • 弱みの改善は、必ずしもクロスSWOT分析の中に入るわけではない。どうしても弱みの改善をクロスSWOT分析に入れたい場合は、機会に繋げられないものの、上記の「2.改善戦略」に入れると分かりやすくなる。
  • クロスSWOT分析での実行の優先順位は、積極戦略 > 差別化戦略 ≧ 改善戦略 ≧ 致命傷回避戦略の順となることが多い。
  • クロスSWOT分析は、会社の将来を考えるツールの一つであり、経営理念、経営ビジョン(目標)、経営課題、経営の方向性に合致しない戦略が見つかったとしても、その戦略は省く必要がある。

 

すべての機会、脅威、強み、弱みを使い切る必要はない

クロスSWOT分析から、SWOT分析に話を戻します。
機会、脅威、強み、弱みは、すべて使い切る必要はありません。
特に、「機会や強みはすべて使おう」「弱みはすべて改善しなければ…」と思っている人がいると思いますが、全てをやれるほどヒト、モノ、カネなどのリソースを持つ企業は稀です。
経営理念、ビジョンに、クロスSWOT分析などで優先順位を設けつつ、無理なく、無駄なく、できる施策を見つけて、将来のために実施していくことが大切です。

 

 

今後、SWOT分析をする必要が生じたときには、上記のことを知っておくと、経営環境分析がしやすくなるのではないでしょうか?

 

 

 

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布能 弘一
千葉県柏市に在住の中小企業診断士。 WebやWindowsなどアプリケーション開発やインフラ環境の構築を担当。登録後、経営に関する各種執筆や、IoT・売上などのセミナー、商業やサービス業の経営支援などに従事しています。 理念は「三方よしの企業を増やす」
布能 弘一

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