皆さんは、相手に情報を正確に伝えたり、正確に聞き取ったりすることができているでしょうか?
これは、なかなかに難しいことですよね。
単なるお喋りぐらいなら、情報の正確性は必要ないかもしれません。
例えば、小さい子や訪日観光客と話す際には、片言でも十分会話が成立することは多いですよね。
しかし、ビジネスとしての会話であれば話は別です。
前職のシステムエンジニアの時代、私は、お客さんへの設計書のレビューや、今後の提案などを行う機会が何度もありました。
しかし、いつも私は情報を正確に伝えることがでませんでした。
また、相手からの情報を正確に聞き取るもできませんでした。
こういった経験もあり、「自分はコミュニケーション能力が低いのではないか?」という不安を常に抱いていました。
情報が正確に伝わらない2つの根本的な原因
では、正確に相手に伝えるのは何故難しいのでしょうか?
ビジネスの場面では、相手も自分も、「正確に伝えよう」、「正確に理解しよう」と努力しているにも関わらずに、正確に伝わらないのは日常茶飯事です。
原因としては、説明の仕方や、その日の体調、集中力の有無なども考えられます。
しかし、ある時、より人間の根本的なところに情報が正確に伝わらない2つの大きな原因があることを知りました。
それは以下の2つです。
- 話し手は、強調したい部分以外の細部の情報を省略してしまう。
- 聞き手は、省略された空白部分を補うため、これまでの自分の知識・経験などのフィルタを通じて再現され、歪曲してしまう。
例えば、以下のような会話があったとします。
Aさん:以前、海に旅行したときに花火をみて感動した。
Bさん:同感だね。海で見る花火って感動的だよね。
一見、この会話は通じ合っているように見えますよね?
しかし、本当に正確に情報が伝えられているのでしょうか?
AさんとBさんの頭の中にあったことを、より具体的に書いてみましょう。
Aさん | Bさん |
10年前の冬 | 今年の夏 |
湘南海岸で | ワイキキビーチで |
私ひとりで | 私と恋人で |
線香花火を | 打ち上げ花火を |
大切な人を亡くした傷心旅行中に | 旅行デート中に |
切ない気持ちで | ドキドキしながら |
感動的に花火を見た | 感動的に花火を見た |
さて、もう一度、同じ会話を聞いたとしましょう
Aさん:以前、海に旅行したときに花火をみて感動した。
Bさん:同感だね。海で見る花火って感動的だよね。
会話が通じ合っているように見えますか?
全く通じ合っていませんよね。
これは、Aさんが情報不足で伝えたことが問題だったのでしょうか?
それとも、Bさんが不足した情報を自身のフィルタを通じて補ったことが問題だったのでしょうか?
先にも書きましたが、会話をしていると以下の2つのことが同時に起こるため、どちらが悪いといいきれるわけではありません。
- 話し手は、強調したい部分以外の細部の情報を省略してしまう。
- 聞き手は、省略された空白部分を補うため、これまでの自分の知識・経験などのフィルタを通じて再現され、歪曲してしまう。
普段の生活においては、正確に情報を伝える必要はありません。
正確に伝えなくても、なんとなく意図が理解できることも多いので、頭の中でイメージしたこと全ての情報を伝えることはありません。逆に、正確に伝えようとしすぎると、情報量が多くなり長ったらしい会話と感じられ敬遠されることもあります。
聞き手もよほど重要な内容でない限り、なんとなく聞いています。また、細かく聞きたがると相手に嫌がられてしまいます。更に、下手に聞きすぎて情報量が多くなりすぎると、情報の許容量がパンクしてしまったり、情報の優先順位が分からなくなってしまいます。
これは、人間の根本部分に根差した問題なのです。
情報を正確に伝える方法アレコレ
私自身は、100%正確に相手の言葉を伝えられる方法はないと考えています。
しかし、ビジネスにおいては、より情報を正確に伝える、より正確に聞き取る方法があるとも感じています。
これまでの経験上、ビジネスの場面で、情報を正確に伝える、正確に聞き取るのであれば、以下のようなことをしておくと良いと感じます。
- 会話を文字に落としてから、説明する。
- 会話全体の概要をつけてから、説明する。
- イメージ図とセットで説明する。
- 5W1Hなどのフレームワークを使い、説明する。
- 適時、相手が理解しているかを確認する。
- 会話終了後に、会話の内容の議事録を作り(もしくはメールで)、参加者全員に回覧して、確認をとる。
- 最終的な議事録は、参加者全員が見れる共有フォルダなどに保管しておく。
- 会話終了後であっても、確認不足と感じたことは素直に質問する。
今回のブログのポイントは、「相手に情報が正しく伝わらないのは、人間の根本部分に根差した2つの問題(省略と歪曲)もある」ということです。
本記事が、皆さんの今後の情報伝達の改善に役立つようであれば幸いです。
P.S.
私の事務所ブログで、情報伝達についてのブログ記事を書いています。
もし、本記事が気に入った場合、こちらの記事も読んでいただけると幸いです。
話す相手との情報量の格差(ふのう中小企業診断士事務所)
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