営業の成果=「質」×「量」

前回は、営業の成果を生み出す構成要素として、「量」の考え方に触れました。
今回は、もうひとつの「質」を考察していきましょう。

営業の質を上げたいと思う時、社内ではどのような対策をとるでしょうか。

・営業研修
・同行営業

こんなことが思い浮かびますね。
しかし、多くの経営者や営業マネージャーの方は、単純な疑問を呈することも多いはずです。

成果が出る実感がない…。
なぜ、部下は俺と同じような成果を出せる営業にならないのか?

テクニックとスキルは別物

なぜ、一般的な営業研修や同行営業は、成果の実感が伴わないのか?

これは、「テクニックとスキルは別物」だということです。

単発的な研修、または同行営業などのOJTで学ぶ営業は、
テクニックの伝達に終始することが多いと言われています。
あなたの会社の事業が専門的であればある程、営業ノウハウも専門的になるため、
なおさらテクニックを重視した営業に注力しているかもしれません。

例えば、優秀な営業マンの成功体験に基づくテクニック1つで全ての顧客に対応できたなら、
誰もが苦労せずに受注を獲得できるはずです。当然、そうはいきません。

ではスキルとは何なのか?

ここでは、
テクニックを「知識」
スキルを「能力」
このように定義してみます。

ただ、言葉を言葉で表現すると分かりにくいかもしれません。
私はいつも、この2つを「短期間でマネして実践できるか?」の切り口で見ています。

例えば、営業でアポを取る。初対面の顧客の警戒心を解きほぐす。
そのための「言葉」や「応対」は、仮にリスト化して営業マンに渡すだけで、
とりあえずはマネできるかもしれません。
この場合、「言葉」や「応対」はテクニックであり、知識と言えます。

一方、顧客から信頼を得たり、顧客の課題を引き出す「傾聴力」や「仮説構築力」
これらは実践が伴わない限り、有効に活用できません。
個人が繰り返し実践して、評価・モニタリングを受けないことには、なかなか身に付かないものです。
「傾聴力」「仮説構築力」はスキルであり、能力に該当すると言えます。

ただ、テクニックを軽視することはできません。
営業活動においては、いずれも重要であることは議論の余地がありません。

従って営業力は…

スキル×テクニック

このように考えることもできるのではないでしょうか。

営業研修やOJTが、実はテクニックの伝達に終始していることはよくあることです。
そのため、テクニックだけを身に着けた営業マンは増えるものの、
スキルの高まりが伴わないため、営業マンの成果に直結しません。
これが経営者や営業マネージャーが成果を実感できない、ひとつの理由と考えられます。

売れない営業マンに共通する問題

根本的な営業の質を左右する要因として、どのようなものがあるのか。
この確認のため、売上の低い営業マンに共通する代表的な問題を2点挙げていきます。

・顧客の話を聞いていない

「口先ひとつで成功」という営業スタイルを確信している方は、さすがにもういないと思います。
それでも、顧客を訪問して自分が話す局面が多いと感じた場合は、
しゃべり過ぎではないかと、自身の行動を見つめ直すべきです。

売上の低い営業マンは、顧客からの反論や否定に対する不安を多く抱えています。
そのため、顧客の口を塞ぐように話を続け、
ついには自信なさげな話し方に終始してしまうこともあるでしょう。
一方的に話を聞かされるだけで、「自分の課題を解決してもらいたい」と思う顧客はいません。

商談の中で重視すべき行動は、お客様の課題解決です。
課題解決の先に「合意」という受注があります。
それにはまず、営業マンは「聴き役」に徹するべきです。
お客様の声に耳を背け、一方的に話していることがないか。
自社の営業マンをチェックしてください。

あなたの会社の営業マンは、「傾聴力」のスキルを十分に身に着けているでしょうか?

なお、京セラの現会長であり、半導体部品事業の営業に一貫して携わってきた 山口悟郎氏は、
以下のように語っています。
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社長就任まで営業畑を歩んできた私ですが、実は人と話すのがあまり好きではありません。
「男は喋るな」と言われて育った世代なので、
饒舌な男はリスペクトできない、という感覚がもともとあるんです。

~中略~

初対面の人で遠慮があっても、お互い、ビジネスで会っているのだし、相手にも言いたいことはある。
だから、それをうまく聞く。

聞くのが75%、話すのは25%といったところではないでしょうか。
実は、聞くというのは、相手の立場に立つことなんですね。
何かしてほしいことがあるのか、あるいは何か苦情や不平があるのか。
それを聞いて対処するというスタンスをとると、相手との距離はぐっと近づくのではないかと思います。
口下手だから、あるいは逆に、たくさん喋るから、ということと、
人と人の距離感や、人間同士の信頼感は、比例しないものなんですよ。

引用:SankeiBiz(産経新聞グループ経済情報サイト)

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・顧客訪問の目的を持たない

売上の低い営業マンに共通する代表的な問題の2つ目です。

訪問目的のない営業活動は、例えるなら、わざわざ三振をするために、
バッターボックスへ立ちにいくようなものです。

なぜ訪問目的が重要なのかとかといえば、
訪問目的が明確でなければ、当然本来の事前準備ができないためです。

例えば、新規開拓中の顧客に訪問する営業担当者のことを考えてみます。
訪問目的は、「真の課題を引きだすこと」としましょう。

全ての営業活動は顧客の課題を解消するために、自社の商品・サービスを購入して頂く行為です。
課題解消とは、言い換えると顧客ニーズの充足となります。

訪問目的が明確になると、事前準備は自ずと明確になります。
そうすると、以下のようなステップで商談が成果に向かっていきます。

この場合の事前準備とは、顧客の課題に対して仮説を立て
真の顧客ニーズを探る引き出しを用意しておくことです。

①事前準備:顧客課題の仮説構築
②訪問:仮説検証 ⇒ 真の課題(ニーズ)の特定 ⇒ 課題解消に対する提案、または提案の同意
③事後対応:提案後のフォローアップ

もし、①の事前準備がなければ、訪問時の商談も薄っぺらなものになるでしょう。
提案まで漕ぎつけることさえ、叶わないかもしれません。

今日、会社を出ていく社員はしっかり顧客への訪問目的を持っているか。
自社の営業マンをチェックしてください。

あなたの会社の営業マンは、「仮説構築力」のスキルを十分に身に着けているでしょうか?

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石井 伸暁

中小企業診断士・1級販売士。専門商社で15年以上の小売業支援経験を有します。信条は「WIN-WINアプローチ」。ビジネスの成功は、顧客の利益創出を相互の「協同」と「交換」で成し遂げていくものと考えています。