20年くらい前でしょうか、アメリカの経営者リー・アイアコッカの自叙伝「わが闘魂の経営」を読んだ
ことがあります。当時好調だったフォードを追われ、瀕死に陥ったクライスラーを立て直した話です。
脳裏に残ってるのは、窮地に陥った時、経営者が最も大事にすべきは「協調性」だと言うことです。
合理主義のアメリカで、しかも再生するために「協調性」だと言う。
アイアコッカいわく「あらゆる商売は、人間、商品、利益の3つで、その中でも人間が最も大切である」
厳しさに陥るとき
よく放漫経営で厳しい状況に陥る、と言います。しかしどんな経営者でもそんなことを考えて経営して
いるわけではありません。むしろ手綱を締めてる経営者の方が多いでしょう。
有力な人材が辞めた、販売先が不振になった、新商品が不発に終わった、誰もが予想しないところか
ら始まります。やがてそれが財務状況に直結して、気がつけば健全性を失っているのです。そんな時、
社長は奔走します。株主への説明、銀行への支援要請、等々。この時、立ち止まって冷静に現状を見て
解決策のシナリオを立てなければなりません。それとともに大事なことが・・・。
再生への道
ステークホルダーの中で一番大切なものは何でしょうか?
株主、銀行、もちろん大事です。しかし最も大事なもの、それはやはり従業員だと私は確信しています。
私は会社の再生に携わった経験があります。経営者としてではなく、再生に向けた担当者として、銀行
などへの説明、協力依頼などの仕事です。そのような状態で求められる、いや軸に置かなければならない
のが「自己努力」です。会社を支援をする側は、会社がどこまで頑張るかを評価するのです。
もう少し具体的に言うと営業をどう立て直し、経費をどうコントロールして業績を上げるか、のみに関心
を持ちます。
しかし、果たして従業員は理解してくれるでしょうか。それは経営の問題でしょ、と感じる人がほとん
どだと思います。大半は、えーという反応から始まるのではないでしょうか。
ですから、経営者は日常から幹部や従業員とのコミュニケーションが最も大事だと言うことです。
自己努力に向けて動いてくれるのは従業員に他ならないからです。
経営のオープン化
ある会社で経営改革に成功した社長の話を聞く機会がありました。どん底から経営を任された方の話です。
幹部5名には毎月経営状態を開示し、膝を突き合わせて課題を共有化して、ディスカッションを重ねたそう
です。いわく「幹部たちは経営状態を深く理解して、行動してくれた」と。
その会社は本業を徹底的に強化し、5年間で業績を業界トップレベルに押し上げました。
なぜ、できたのでしょうか?
平時からなんでも話せる関係を作ったこと、やがて幹部とスタッフの間もそうなっていき、それが原動力
になったのだと思います。そこから得られる教訓は、企業はいつも穏やかではなく、厳しさに直面した時
に真価を問われる、それを切り抜けるのはアイアコッカのいう従業員との「協調性」だということです。
経営は奥が深いですね。
Okudacs
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