前回の記事では、中小企業における働かせ方の改革における取組事例をいくつか紹介しました。

今回の記事では、働き方改革を取り組むにあたって一助となる支援制度の紹介を中心に記載します。

中小企業における働き方改革の取り組みは支援制度を活用すべき

中小企業の多くは新たな取り組みをするための経営資源が不足しており、働き方改革の推進に当たっては、国や都道府県の支援制度の活用をいくつか検討するべきでしょう。

生産性の向上は国レベルの課題であり、政府としても多岐に渡る支援制度を用意しています。

活用メリットが大きい、資金面での支援制度

第一の候補として、補助金や助成金の活用があります。厚生労働省が所管する「キャリアアップ助成金」や「職場意識改善助成金」など、働き方改革の一環として活用できる定番の助成金があります。

助成金の専門は社会保険労務士ですので、私はそこまで詳しくなく、この程度の紹介に留めておきたいと思います。

働き方改革は、やはり人事労務面での支援制度が手厚くなっていますが、経済産業省・中小企業庁が所管する補助金についても、いくつか活用できそうなものがあります。

今現在は、今年(2018年)に実施される可能性が高まっている補助金の紹介が主となります。これらは、予算が確保されているので、公募されるのは時間の問題ではあると言えます。

IT導入補助金(サービス等生産性向上 IT 導入支援事業)

2017年度に初めて公募された「IT導入補助金(サービス等生産性向上 IT 導入支援事業)」は、IT導入による業務効率化を推進でき、働き方改革の支援制度としても活用しやすいものでした。今年は予算が500億、補助率は1/2、上限は50万、と、対昨年比で支援の条件は悪くなっていますが、予算が大幅に拡充されていることから採択率は非常に高まる見通しです。採択予想数は13万5千社とも言われているため、その裾野の広さが実感できます。

ITシステムの導入は、業務効率を大幅に変えることが可能ですが、本来の業務改革の手順としては、

  1. まずは現状の業務プロセスの無駄を省く
  2. 最適化されたプロセスに適するシステムの導入を図る

という順序になります。そのため、無駄が多い状態でシステムを導入しても充分な効果を得られないことがあることに注意したいですね。

小規模事業者持続化補助金

近年継続して公募されている「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓とあわせて行う「サービス等提供プロセスの改善」や「IT利活用」の取り組みも補助対象となっており、業務効率化(生産性向上)としても活用可能です。

今年も予算120億がありますので、近いうちに公募が始まると考えられます。

 

人的経営資源の不足を補う専門家派遣制度

その他の支援制度として、経営相談や専門家派遣があります。具体的には、よろず支援拠点などでの経営相談の他、この「ミラサポ」から申請が可能な専門家派遣制度や各都道府県労働局における「働き方・休み方改善コンサルタント」の派遣制度などがあります。

また、各都道府県独自の制度も存在し、例えば東京都では「ワークライフバランス推進専門家派遣事業」として、働き方の見直しなどにかかる支援を行っていました。既に募集は終了してしまっていますが、今後も同様の専門家派遣制度は各都道府県で募集される可能性はあることから、活用を検討したいです。

 

中小企業においては、働き方改革を推進するにも知識を持つ人材がいないために計画を立てられない企業が多くあります。これらの支援制度を活用することで、負担を軽減して継続的に取り組むことが望ましいでしょう。

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中小企業診断士。出張CIOとして、ITで経営改善を科学する支援をしています。 主要事業は、千葉や東京を中心に経営支援やセミナー、教育研修、執筆等です。