イノベーション

ーイノベーションー

日本語で”技術革新”と訳されることが多いですね。
経営にとってイノベーションは重要です。特に技術を強みとする企業にとって、アンテナの感度を上げて常に新技術をキャッチアップしておくこと、そしてそれらを活用しながら既存技術に対してイノベーションを起こすこと、これらは会社存続にかかわる重要課題と言えるでしょう。

しかし、そこに落とし穴が潜んでいる場合があります。

イノベーションのジレンマ


上図をご覧ください。技術の成長はS字カーブを描きます。始めは大したことない「第一の技術」は、そのうち急成長しますが、やがてその成長率は鈍化していきます。そのタイミングで「第二の技術」がどこからともなく現れ、成長期に入ると「第一の技術」を一気に追い抜いていきます。

これを企業にあてはめると次のようになります。

「第一の技術」で業界トップに登りつめた企業が、「第一の技術」をさらに磨き、既存顧客の満足を優先することで、かえって「第二の技術」の導入に立ち後れてしまい、「第二の技術」を駆使した後続の弱小企業に追い抜かれてしまいます。

この現象を、イノベーションのジレンマと呼んでいます。

主に大企業に向けた提言と言われていますが、中小企業にもあてはまりそうですよね。なぜなら、市場規模は小さくてもニッチな業界でトップにいる中小企業もたくさんいますからね。

顧客志向、生産性志向のワナ

中小企業は大企業と比較すると、ヒト、モノ、カネといった経営資源はさらに限られています。この有限である経営資源をどこに割り当てるか、まさに「選択と集中」が必要になります。

たいていは、「今」において利益率、利益額の高い既存の優良顧客が最優先され、それに合わせて投資が行われるでしょう。
また、会社の生き残りのためにはコスト削減が絶対条件になることもあります。その場合、既存技術を徹底的に磨いて生産性を上げながら、リストラはもちろん、考えられる一切の無駄をなくすようあらゆる手段をとるようになります。

こうなると、会社にイノベーション起こすなんて余裕はなくなり、「今」を生きることで精一杯です。頭では会社を変えなきゃいけないことは分かっていても、既存技術や既存プロセスでガチガチに固められた会社を変えることは容易ではありません。

この状態で、「第二の技術」を持った他の会社が出てきたら・・・、かなり厳しい戦いになりそうです。

こうならないようにするためにはどうするべきか、こうなった場合はどうするべきか、それは次回以降であらためてお伝えしたいと思います。

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Dee

映像ディレクター兼中小企業診断士。 「企業は人なり!」を信念とし、製造業を中心に業務改善に携わってきました。従業員の笑顔は全てに通じると思っています。

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