「インターネットをやってみたいのだけど。」

とある支援先でこのような相談を受けた。

その支援先は、創業して半世紀近く経つ。社長は昔ながらの経営を行い、顧客や取引先などから愛されてきたが、時代を経るに連れて社会の変化スピードは加速し、一方で自身は歳を重ね、いつしか時代の変化を見なくなった。

ことITの活用については、パソコンを持っておらず、SNSはおろか、メールですら触ったことがないという話をされていた。

 

  中小企業におけるIT活用の実態

これは想像でしかないのだが、上で紹介したような中小企業は今の日本に五万と存在しているのではないだろうか。

と悶々としていてもしょうがないので、中小企業のITの利用状況は実際どうなのかというものを調べてみた。ご紹介していきたい。

データは中小企業庁が発行している「中小企業白書2017」からすべて引用している。

 

まずは中小企業のITの導入状況である。

どの業種もほぼ同じで、75%程度の企業がパソコン、スマートフォンなどの機器は導入している。先ほどの企業のように、パソコンすら持っていない企業が25%も存在することがわかる。

また、ソフトウェアを導入している企業はもちろんだがさらに減る。

 

利用状況についてのデータがあまりなかったので、次は少し飛躍するがEDIの利用状況についてみていく。

EDIとは、商取引に関する情報を標準的な形式に統一して、企業間で電子的に交換することで受発注や見積、決済等を行う仕組みをいう。

簡単に言うと、コンピューターを使って取引の管理をすることである。

データが古いので何とも言えないが、中小企業におけるEDIの利用状況は、増加傾向なものの、13年時点でまだ半分を少し超えたところである。

 

最後はクラウド・コンピューティングの利用状況である。

クラウド・コンピューティングとは、ネットワークから提供される情報処理サービスのことであり、従来は手元のコンピューターで管理・利用していたような ソフトウェアやデータ等を、インターネット等のネットワークを通じてサービスの形で必要に応じて利用する方式のことをいう。

こちらもデータが古いので何とも言えないが、利用状況は、増加傾向なものの、13年時点で3割にも満たない。

 

中小企業経営者からみる「IT」

ここまでデータを見てきて、想像はあながち的外れではなかったというのが見て取れたのではないだろうか。やはり中小企業ではまだまだITの活用がなされていない。

では、なぜ活用が遅れているのだろうか。

「そんな金銭的及び時間的余裕がないから」という理由が真っ先に挙げられそうだ。

また、「人材が足りないから」という理由も次点で挙げられそうだ。

関連するデータがあったのでここで紹介させていただく。

これはIT 投資未実施企業のIT投資を行わない理由というデータである。

これを見ると、ITを導入できる人材の不足を理由に挙げている人が多いのが分かる。

一方、私が真っ先に予想した「そんな金銭的及び時間的余裕がないから」という理由を挙げている人は比較的少なかった。

「時間的余裕がない」については回答すらない。

これから推測すると、一言でいえば経営者が「ITはよく分からないから」という理由でITを活用していない企業が多数を占めるということではないだろうか。

これはとても勿体無い。

確かにIT分野の技術の進化は速い。さらに用語もわかりづらい。

EDIだクラウドだIoTだフィンテックだ、知らなければなんのことだか全くわからない言葉だらけである。本当にこれはIT分野の大きな欠点である。

ただ、この速さと用語の壁を乗り越えても余りある程のメリットがITにはある。

大企業だけでなく中小企業にも。

私はそう確信している。

ということで、次回からこのブログを利用して、中小企業でぜひ利用してほしいIT製品・サービスを紹介していこうと思う。

このシリーズが少しでも中小企業の活力になれれば幸いである。

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高見 康一

千葉県在住のIT診断士。 学生時代から経営に携わる仕事に興味があったものの、創業する勇気はなく、IT系の会社に就職。 その後、やはり創業したいという気持ちが捨てられず、会社を自主退職した後、中小企業診断士の資格を取得し念願の創業。 現在は経験を活かし、中小企業のIT導入支援や創業支援を手掛ける。