どうして社員が辞めるのか?
先日、超人的なリーダーシップを発揮して社員をけん引している社長から相談されました。
「俺はこんなに社員のことを想って頑張っているのに、また社員が辞めたんだ。どうしてなんだ?」
社長は理念とビジョンを明確にもち、社員に率先垂範しています。マネジメントルールもしっかり作っています。社員の行動規範を作り、スケジュール管理も怠りません。
一見申し分ないように見えます。実は、そこに盲点があります。
社員が「考える自由、行動の自由」を奪っていたのです。
社長の自律と社員の自律
激しい環境変化への対応に対し、トップだけでチームを引っ張っていくのは無理です。社員みんなが自律して知恵を出して変化に柔軟に対応しなければならない時代となりました。
トップの考えを示すことはとても重要です。しかし、変化の速度に追いつくには現場現場で考えその時に判断し適切な対応をすることが必要です。
過去の成功事例にしがみつき、「俺はこうやってきた」と言い張り、通用しなくなったことが認められない。そういうトップがいると社員や顧客は不幸になります。成功事例というのはやっかいですね。良い事例としては参考にすべきですが、時代背景、顧客、社員の力量、競合など複雑な因子が作用して良い事例が適用できないことはたくさんあります。
自ら考えて自律的に行動することにより、いい働きができます。結果が出ればモチベーションも上がります。顧客も喜ぶ。ES(従業員満足度)が上がりCS(顧客満足度)が上がります。
そういう環境を整えてあげることが今のトップの役割です。
一緒に働きたいと思われているでしょうか?
働く側の採用条件がよくなってきています。有効求人倍率1.43倍とは企業側の求人が多いということですね。
雇用の流動化が日本の課題ですが、今や終身雇用を考えて就職する学生は少なくなってきています。まして、中小企業は出入りが激しいです。
転職などの情報が豊富に得られる中で、「あえて社長の会社で働くことを選ぶ」
そういう社員がいますか?
社長。「自らの意思で自律的に付き従う社員がいますか?」
社長自身が自律的であることはもちろん。社員にも自律できるように支援し、環境を整えることができれば、多少給料が低くても辞めていく社員は減っていくことでしょう。
高橋 光久
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