書類を作るのはなんのため?

企業は、活動を行ううえで実に多くの取引先や関係者と取引をします。
その取引ですが、あとで「約束と違う」「いや、そんな約束はしていない」などといったトラブルを防止するために、契約書その他の書面で約束内容を明確にします。

また、企業は、組織としての秩序を整え一枚岩になって活動していくために、様々な社内ルールを設けます。
明文化されない組織文化もありますが、たとえば、全ての従業員に気持ちよく働いてもらうための最低限のルールなどは誰もが明確に認識し共有する必要があるため、これらも文書化されます。

 

このように、ルールや約束は、関係者の認識を統一し共有するために書面化・文書化されるものです。

 

しかし、肝心の書類記載内容が曖昧だと、どうなるでしょうか。

大抵、以下のようなことになります。
Aさん「ここにこうやって書いてあるでしょ?なんで守らないの?」
Bさん「え、この規定ってこういう意味でしょ。だから、私、ルール違反してませんけど」
Aさん「そんなことをいうために規定したんじゃない!」
Bさん「いやいや、そんなこと言われたって、誰が読んでもこういう意味だと思いますけどね(怒)」

こんなふうにトラブルになってしまっては、なんの意味もありませんよね。

価値のある書類を作るためには

契約書を作成したり社内ルールを文書化する際には、その記載内容で関係者の認識が統一されるか、という点を常に意識されるとよいでしょう。

可能な限り誰にでもわかる表現や言葉を用いて文書化されることをおすすめします。また、専門用語や他のニュアンスも含まれるような言葉を使わざるを得ない場合は、注釈や定義に関する条項を設ける等して言葉の意味が一義的に定まるようにするとよいでしょう。

 

書面作成者自身が、「こんなの知ってて当たり前でしょ」「こんなことまで逐一説明したらクドイよね」と考えている点こそが落とし穴だと思ってください。他の関係者が別の解釈(誤解)をしてしまい、結局トラブルになるということが多くあります。
ですので、できる限り多くの関係者にもみてもらい、曖昧な点がないか・解釈の余地が残されている点がないかを確認できるとよいですね。

ネット情報に惑わされない

昨今、ネット上にそれらしき書面案や雛形が溢れていますが、それらが正確だという保証はどこにもありません。
仮に、それらの雛形等が様々な側面からみて誤りがないものだとしても、それらは一般的なものにすぎず(だからこそ「雛形」なんですよね)、貴社の組織や文化・意図に合致するとは限りません(むしろ、貴社に合わないケースの方が多いのではないでしょうか)。

このような場合、ネットから拾ってきた雛形で間に合わせたつもりが、貴社に不利な条項や規定までそっくりそのまま書面化してしまい、かえって自分のクビを絞めてしまう・・・こんなことが、現実に多発しています。

 

ですので、ネット上の知識や雛形は一定の参考にしつつも、それらに引っ張られないようにしたほうがよいでしょう。
あくまで、貴社が何を規定したいのか、何のために規定するのか、ということを明確にし、それに沿った内容を文書化されるとよいでしょう。


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