問題点の認識

売上規模や従業員数の急拡大で発生する代表的な問題と言えば、当然ヒトに関することがまず第一に挙げられます。「人手が足りない」「人材育成が進まない」「離職率が高い」等は、多くの企業に共通して見られる問題であり、裏返せば解決すべき課題となります。

よくある事例で、人手が足りないから採用を強化するといったことがありますが、果たして人を採用できればそれでいいのでしょうか。何を言いたいかというと、「離職率が高い」という問題を同時に抱えていた場合、課題としては離職率の低下の方が重要度が上がるということです。離職率が高い原因にもいろいろありますが、会社への不満が離職率の増加につながっている場合、新たに採用した人が離職する可能性も高くなることが考えられ、そうなってしまっては採用の意味がありません。

 

根本の原因を取り除くのが先

根本の原因、上記の内容でいえば離職率の高さの原因を改善しなければ、採用を強化しても同じことの繰り返しになります。言うなれば、穴の開いたバケツに水を入れ続けるようなものであり、まず必要なのは穴をふさぐこと。つまりは、離職させないような仕組みづくりや体制づくりが求められます。ある企業で、「広告による募集費が高すぎる!」と常に上層部から採用担当者へのお叱りがあるといったことがありました。しかし原因を突き詰めると、採用担当者が一概に悪いとは言えず、社内の空気そのものの悪さが、社員が定着しない根本の原因だったということもあるのです。

 

仕組みを作るのが経営者の仕事

従業員を抱える経営者としてすべきことは、優先順位を考えて仕組みを作ることです。今回の例でいうと、まずすべきは離職率が高い原因を突き止め、定着率が上がるような仕組みを作ること、そして本格的な採用活動はバケツの穴を塞いで(離職率を下げて)から。この順番が大切です。定着率を上げるような策は後日改めてお伝えするとして、日頃から何事も「根本」を意識しておくと解決の糸口になりますよ。

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羽石 欣司

飲食店コンサルタント。中小企業診断士・調理師。 料理人をしていた経験から、現場の実態に即した飲食店支援を心がけています。

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